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口腔の状態から全身疾患を知ることができるのか?①

投稿日:2018年2月14日

カテゴリ:スタッフブログ

口腔は、消化管の起始部として食物を咀嚼する器官であるとともに、上気道の一部を形成しています。病原性微生物などさまざまな起炎物質と接触する機会が多い為、感染症による口腔病変は多いです。しかし、全身疾患の部分症状としての口腔病変もあり、その存在を知っておく事は大切なことです。

 

☆口内炎と口腔潰瘍性病変

 

口腔粘膜に発生する炎症の病因は多岐に及んでおり、中でも頻度の多い所見として、アフタ性口内炎があります。口腔内に孤立性あるいは多発性に発生し、比較的小さな円形~類円形境界明瞭な炎症性局面を形成します。白色偽膜(正常の構造を持たない膜)に覆われた粘膜上皮のみの欠損で、周囲に紅暈(赤いふちどり)を持つ。

また、アフタより大きなものは「びらん」と言います。上皮下に及ぶ深い欠損は「潰瘍(かいよう)」と呼びます。

口腔内潰瘍性病変とは、アフタ、びらん、潰瘍を呈する状態で、原因疾患は口腔内に限局するものから全疾患の部分病変であるもの、または、悪性腫瘍や自己免疫疾患までさまざまあります。

 

アフタ性口内炎の病因としては、細菌感染や免疫異常、栄養障害、胃腸障害などがあります。しかし、多発性かつ難治性の長い経過をとるアフタ性口内炎においては、全疾患のベーチェット病を考慮しなければならないです。

 

・ベーチェット病とは…

口腔内のアフタ性潰瘍病変、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つを主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患です。その他、血管病変や腸管病変、神経病変などの臓器病変が主体になる事もあります。病因は不明であるが、遺伝性素因(HLA―B51陽性)の関与がいわれています。

 

・ウイルスなど感染症によるアフタ性口内炎…

随伴症状として発熱や近傍のリンパ節腫脹などを伴う事が多いです。帯状疱疹はよく遭遇する疾患ですが、1つの神経の支配領域に沿って発生する水疱で、神経痛様の痛みを伴うのが特徴です。口腔内においても、片方の水疱形成から、やがてびらん・潰瘍をつくります。同時に同側の顔面や頭部にも病変が出ることが多いです。

 

・皮膚疾患で口内炎と関連がある疾患…

天疱瘡と類天疱瘡があります。(粘膜の自己免疫疾患)

 

・その他…

原因不明の肉芽腫性病変としてクローン病(口腔から肛門までのすべての消化管に潰瘍が多発し、寛解と増悪を繰り返す慢性疾患)

 

・悪性腫瘍…

深い潰瘍性病変と潰瘍提の肉芽形成、壊死による出血や口臭うを認め、重複癌として食道癌を合併する事も多いです。

 

口内炎にもいろんな種類や、全身疾患の部分病変で出現するものまであります。たいがいの口内炎は短期間で消失するものがほとんどですが、再発性、難治性の長い経過をとる口内炎については、全身疾患と関わりがあるものもありますので、一度、歯科または口腔外科で検査をすることをお勧めします。

 

鹿児島市で歯科をお探しの方は、ぜひ、ながやまデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

 

                     参考文献:新・口腔の生理から?を解く

 

歯科衛生士 池ノ上