口腔の状態から全身疾患を知ることができるのか?②

投稿日:2018年2月24日

カテゴリ:スタッフブログ

前回は口内炎についてお話してきましたが、舌の病変についてお話してみます。

 

舌は、口腔粘膜の一部位として全身的な病変を生じやすいです。咀嚼嚥下、味覚、構音などの重要な役割を担う部位であるため、この部位の障害は日常生活に支障をきたすことが多いです。

良く遭遇する疾患に鉄欠乏性貧血があります。鉄欠乏以外にもビタミンの欠乏に起因する貧血も舌炎の原因となり得ます。

舌所見としては、舌背、特に舌尖部が赤く平滑となり、光ります。刺激物がしみるが、発赤が強くなってくると痛みも生じてきます。

主に思春期の女性や妊婦、中年女性に多いが、胃切除後に鉄分の吸収が障害されて発症する場合もあります。

舌炎の際には、貧血の評価をすることが勧められています。また、鉄欠乏性貧血と舌炎に、嚥下障害を伴うものを、

プラマー・ヴィンソン症候群というが、この嚥下障害の発現の機序はわかっていないそうです。

 

舌症状は口腔病変も含め、性感染症の部分症状としても重要で、梅毒は口腔内に病変が起こる代表的な性感染症です。

他者への感染性を持つことなどから注意が必要です。

 

口腔カンジダ症の一部として舌に好発する舌カンジダ症は、最近、増加傾向にあるHIV感染者の40~60%に認められます。

原因となる真菌は口腔常在菌であるが、病原性を有するには、HIVをはじめとした免疫不全状態や高齢者、糖尿病患者、

ステロイドや抗がん剤などの使用者も同様に発症する事があります。

 

舌の変化による診断

 

赤い舌  悪性貧血(ハンター舌炎)、肝硬変、猩紅熱、川崎病

 

灰色の舌 扁平苔癬、硬皮症、ビタミンA欠乏症

 

苔舌   カンジダ症、白板症、胃腸疾患、ジフテリア、熱性疾患

 

毛舌   白色舌:エイズ、カンジダ症

     黒毛舌:抗菌薬療法による菌交代現象、新陳代謝障害

 

地図状舌、溝状舌  先天異常

 

舌の灼熱感、疼痛  鉄欠乏性貧血、ビタミンB欠乏症、扁平紅色苔癬、薬剤長期使用

 

 

上記以外にも、むし歯で穴が開いたり、歯がすり減って尖っているところ、歯の被せ物の段差、合わない義歯など、舌が磨れる刺激で舌に傷ができたり、ピリピリする症状が出たりすることがあります。そのような場合は、原因を取り除けば症状は良くなります。

 

加齢とともに舌の粘膜上皮は薄くなり易く、刺激に対して外傷を受けやすくもなりますし、唾液分泌量が低下すると、

口腔の乾燥でも舌痛を伴う事もあります。(シェーグレン症候群など)三叉神経痛や舌咽神経などの神経痛からも、舌に症状が出ることがあります。

 

ストレスなどで無意識のうちに舌をかんだり、こすったりする習癖によって引き起こされる事や、肉眼的に異常を認めないが、舌に異常感を訴えるものに舌痛症があります(何らかの精神的要因が背景にあるもの)

 

舌は髪の毛一本でも違和感を感知する事ができるとても敏感な器官ですし、体調の変化が現れやすい場所でもあります。

その中には自分でも気づかない体のサインが現れている可能性がありますので、舌の変化に気を付けて細目にチェックを行う事は、

全身の健康にもつながることになるかと思います。もし、何らかの症状がある方は、早めの受診をお勧めいたします。

 

参参考文献:新・口腔の生理から?を解く

 

鹿児島市で歯科をお探しの方は、ぜひながやまデンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。

 

 

歯科衛生士 池ノ上