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どうして咀嚼が認知症の予防に有効なのだろう?②

投稿日:2018年3月23日

カテゴリ:スタッフブログ

☆海馬、扁桃体、前頭連合野への刺激が認知症予防に有効

 

・海馬

記憶は新しい記憶と古い記憶に大別され、新しい記憶は脳の海馬が担当しています。日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、海馬の中で一度ファイルされて整理・整頓され、その後、大脳皮質にファイルされます。21歳~76歳の男女を対象にガムを2分間噛んだ時と噛まない時の海馬の神経活動の変化を調べる実験で、高齢者においては、ガムを噛むことによって海馬の活性化が増強し、ガムを噛むことによって海馬の活性化部分が拡大される事も確認できました。つまり、よく噛むことにより、新しい記憶をファイルする海馬の神経細胞の数が増加し、神経ネットワークが広がる可能性があるといえます。

 

・扁桃体

また、海馬の近くにある扁桃体は、快・不快の情動を司る場所で、海馬と扁桃体の間でやり取りされた情報は最終的には主に前頭連合野(感覚野と運動野を除いた領域)に送られ、長期記憶としてファイルされる。扁桃体の刺激が多いほど、記憶に残りやすいです。

例えば、久しぶりに郷土料理を食べて、この時「おいしい」と感じるだけでなく、「懐かしいおふくろの味だ!」という感情(情動)が誘起され、「そういえば、おふくろはどうしているだろう…?」という記憶がよみがえります。そうすると、更に別の神経ネットワークが活性化され、その時同席している家族あるいは仲間と話がはずめば、新たな神経ネットワークも作られます。楽しみながら何でもよく噛んで食べると、記憶に残りやすいうえ、脳内の多くの神経ネットワークが活性化し、その結果、脳の若々しさを保つことに繋がるというわけです。

 

・前頭連合野

また、よく噛むと、認知症と深い関係にある前頭連合野の活性化が誘発されることも分かってきました。前頭前野は、額の裏側にあり、人間の大脳皮質のやく30%を占める巨大な領域で、思考する、行動を抑制する、コミュニケーション(対話)をとる、意思を決定する、情動(感情)を抑制する、記憶をコントロールする、意識・注意を集中する、注意を分散する、意欲を出すなど、もっとも知的で論理的な機能がここに居在しています。現在、認知症の予防・改善の方法として、簡単な読み書き・計算などが推奨されているが、これは、前頭前野の機能を高めるのが目的です。また、コミュニケーションをとっているときに前頭前野が活性化することから、施設のデイケアなどでも、できる限りの人との交わりを多く取り入れる工夫がなされています。

特に、右側の前頭前野の活性化は、認知力をアップするのに重要だと言われています。新しい記憶を形成する海馬へのネットワークは脆弱で、歳とともに障害を受けやすいが、右側の前頭前野の活性化は、弱まる海馬へのネットワークを代償しているとも考えられています。

 

一品一品の料理を味わいながら、しっかり意識して噛むことが認知症予防に繋がるようです。

 

ご自身が今、どれだけしっかり噛めているか…?

 

実は、「自分は噛めている」と思っていても、実際には噛み合わせの問題や、筋力低下の問題などから思っているより噛めていない、もしくは、ほとんど噛めていない方もいるようです。まずは、自分がどれだけの咀嚼能力があるかを調べてみるのも、認知症予防に繋がると思います。

 

                                                                                    参考文献:新・口腔の生理から?を解く

 

 

鹿児島市で歯科をお探しの方は、ながやまデンタルクリニックでは咀嚼能力検査も行っております。お気軽にご相談ください。

 

歯科衛生士 池ノ上