インプラント周囲病変について
投稿日:2018年4月20日
カテゴリ:スタッフブログ
3月に行われた第3回プライベートセミナーの講義では『インプラント周囲粘膜炎』と『インプラント周囲病変』について勉強しました。
インプラント治療もテレビや雑誌などのマスコミで取り上げられる事も多く、より身近な治療になってきており、積極的に取り入れている歯科医院も多くなっているようです。
多くのインプラント治療は成功していますが、インプラント治療が一般的になってきた近年では、それと比例して少なくない数のインプラントのトラブルや失敗症例が出てきています。
☆インプラントとは…
歯周病やむし歯など、何らかの原因で歯を失ってしまった時に、歯の代わりに人工の歯根を顎骨に埋めてその機能を回復する治療の事です。
天然の歯とインプラントでは歯槽骨(顎の骨)との植立には大きな違いがあります。
天然の歯は、歯槽骨との間に歯根膜と呼ばれる線維性の組織があり、インプラントは歯槽骨との間に他の組織は介在せず、歯槽骨とついています。
☆インプラント周囲粘膜炎…
インプラント周囲粘膜炎は、清掃不良や術者因子(補綴的因子)などが原因でプラークの堆積により周りの歯肉などの粘膜に炎症が起きている状態で、インプラントを支えている歯槽骨までは炎症が波及していない状態。インプラント周囲病変の前駆状態です。
☆インプラント周囲病変…
インプラント周囲病変は、インプラント周囲粘膜炎からさらに炎症が進み、歯槽骨まで炎症が波及した状態です。治療は可能であるが、いまのところどのように治療すればベストなのか未だ分かっておらず、治すのは非常に難しい!歯周炎より病変のサイズが大きく、急性的に炎症が進みやすく、保存が難しい場合脱落、撤去せざるを得ない事もある。
・トラブルや失敗の原因…
インプラントの失敗は、患者さんの口腔内の不良な清掃状態や、骨の状態、全身の状態、喫煙や生活習慣などの背景など、患者さん側に原因がある場合もありますが、術者側の事前の診断、術者の技量や経験の差、知識不足などもあります。
・インプラントメインテナンスの現状
一度埋めてしまえば一生使えるわけではなく、19%の患者は失敗し63%は危険に晒されている!
有効なエビデンスが不足!
手探りで各症例に対峙している!
有効なレシピ(レジメン)作りが急務!
今回のセミナーでは実際にどのようにメインテナンスを行っているか?予防するためには?など、大月先生の医院での症例をみさせていただいたり、実習をしました。
《まとめ》
・インプラント周囲粘膜炎は歯肉炎と似た病態を示し、治療により健全な状態に戻すことが基本的に可能
・インプラント周囲粘膜炎は非外科的治療で通常は治療可能
・インプラント周囲病変になってしまうと、歯周炎よりも病変のサイズが大きく、急性的
・インプラント周囲炎の治療は予知性が高いとは言えないため、粘膜炎をコントロールする事は必要不可欠
・インプラント周囲炎は治療可能であるが、どのように治療すればベストかは未だ分っていない
・インプラント周囲炎を今以上に確実に治療するために、治療法の更なる検証が必要
(徹底的な除染、外科手技、インスツルメント、抗生剤 etc)
☆治すのが非常に難しいインプラント周囲病変。インプラント周囲病変にならないこと!それには、患者さんがしっかり自分で清掃が行えるようになるための指導がしっかりでき、メインテナンス時の手技など歯科衛生士の仕事がとても大切なのだと改めて実感したところです。
鹿児島市で歯科をお探しの方は、ぜひ、ながやまデンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。
歯科衛生士 池ノ上
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